【イベント】夢の島熱帯植物館×Eden
東京・新木場 夢の島植物館

【イベント】夢の島熱帯植物館×Eden

「大いなる愛」と「創世記」が交わる場所

はじめに

はじめまして!ぬいぐるみとのお出かけを趣味としております、ぴよと申します。 一番最初の記事はアフタヌーンティーを!と思っていましたが、あるイベントに参加し、この感動をいち早く届けたい、という思いから本記事を書かせていただきました。 「Eden」によるESファン感謝祭リアルイベント、『Garden of Eden』。

気持ちをかたちに――今、あらためて思い起こそう。 テーマは「オリジン」。お届けするのは「始まりの樂園」。 貴方は、夜の植物園で『Eden』の世界観を体感する。

公式の触れ込みの時点で既に期待値爆上がりですが、期待を全く裏切らない空間に仕上がっておりましたので、実際の園内部の写真、そして今回キーとなる旧約聖書とEdenの関係に触れつつ、紹介していきます。 ※多分にネタバレを含みます。また、考察について解釈違いや誤り等あるかもしれません。心の広い方のみ閲覧をお願いします。 自衛はできましたか? それでは行きましょう、東京都夢の島熱帯植物館「Garden of EDEN」へ!

楽園のイメージを体現した「夜の植物園」という舞台

新木場駅を降りて静かな道を歩くこと数分。広大な敷地の中に、内側からほのかな光を漏れ出させているガラスドームが現れます。一歩園内に足を踏み入れれば、珍しい植物を一堂に集めた熱帯植物館はまさに「楽園」のイメージにぴったり。 さらに、今回のイベントは時間帯を夜に設定し、空の星あかりやストロボ等の限定的な光のみを取り入れることで、日常的世界を排斥した没入感たっぷりの演出を可能にしています。 光の演出によって熱帯植物の巨大なシルエットや蓮池や滝が浮かび上がり、まるで異空間に迷い込んでしまったかのような錯覚を私達に覚えさせます。 この神秘的な空間で、Edenメンバーによる旧約聖書の朗読が始まります。

Edenメンバーによる語りが示すもの〜旧約聖書「創世記」と読み解く「Eden」〜

 ・巴日和 

「また主なる神は、見て美しく、食べるに良いあらゆる木を土から生えさせ、更に園の中央に命の木と、善悪を知る木とを生えさせられた」(創世記第2章第9節)

植物園に足を踏み入れるとすぐ、日和(以下、キャラクター名につき敬称略)による朗読が始まります。「命の木(永遠の命)」と「善悪を知る木(知恵)」というエデンの園が創造された場面であり、この朗読箇所はまだ「罪」が入る前の、純粋無垢で完璧な楽園の描写です。 Eveの日和がこの部分を読むことは、彼が目指すアイドルとしての理想郷——汚れのない、ただ美しく輝かしい世界——を宣言しているようにも聞こえます。

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 ・乱凪砂

「また一つの川がエデンから流れ出て園を潤し、そこから分れて四つの川となった。その第一の名はピソンといい、金のあるハビラの全地をめぐるもので、その地の金は良く、またそこはブドラクと、しまめのうとを産した。」(創世記第2章第10節)

続いて凪砂の朗読が始まります。「楽園」がいかに豊穣であるかの描写です。 「Eden」のリーダーである凪砂がこの部分を読むことは、「自らが統べる楽園から、4つの力が世界へ流れ出していく」という、ユニット「Eden」の構造そのものを象徴していると考えられます。

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 ・漣ジュンの登場と「Eve」

「主なる神はその人に命じて言われた、あなたは園のどの木からでも心のままに取って食べてよろしい。しかし善悪を知る木からは取って食べてはならない。それを取って食べると、きっと死ぬであろう。」 「また主なる神は言われた、」 「人がひとりでいるのは良くない。彼のために、ふさわしい助け手を造ろう。」 「そして主なる神は野のすべての獣と、空のすべての鳥とを土で造り、人のところへ連れてきて、彼がそれにどんな名をつけるかを見られた。人がすべて生き物に与える名は、その名となるのであった。」 (創世記第2章第16節〜第19節)

ここでジュンが登場します。その後日和が加わり、共に朗読する部分であり、「Eve」の成り立ちに大きく関わる部分でもあります。

「しかし善悪の木からは食べてはならない。それを取って食べると、きっと死ぬであろう。」

聖書においてイブは、善悪を知る木の実を食べ、楽園追放のきっかけを作った存在です。これからユニット「Eve」としての話をすることを、強く意識させられる箇所です。

「人がひとりでいるのは良くない。彼のために、ふさわしい助け手を造ろう。」

そして、この部分は、かつてジュンを自分のパートナーとして「見出し、引き上げた」日和の立場と、それによって結成されたEveの成り立ちと、見事に重なります。さらに朗読は続きます。

「主なる神は野のすべての獣と、空のすべての鳥とを土で造り、人のところへ連れてきて、彼がそれにどんな名をつけるかを見られた・・・」

ジュンは二つ名として、「ハイエナ」等と呼ばれていますが、聖書の中で「野の獣」が登場する箇所をジュンに読ませるのは、キャラクターイメージ(野生、獣)を強く意識した配役と言えるのではないでしょうか。

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 ・七種茨の登場と「Adam」

「そこで主なる神は人を深く眠らせ、眠った時に、そのあばら骨の一つを取って、その所を肉でふさがれた。」 「人とその妻とは、ふたりとも裸であったが、恥ずかしいとは思わなかった。」 「さて、主なる神が造られた野の生き物のうちで、へびが最も狡猾であった。」 (創世記 第2章第21節、第25節、および 第3章第1節)

凪砂がもう一度登場します。そして最後、茨が加わり、創世記の朗読劇は幕を閉じます。ユニット「Adam」そして「Eden」へと繋がって行く、クライマックス部分です。

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「あばら骨を取って女(イブ)を作った」「裸でも恥ずかしくなかった」

これは凪砂が「絶対的な支配者」でありながら同時に「世俗を知らない無垢な存在」であることを示します。凪砂はゴッドファーザーによって世間から隔絶した空間で育てられ、長らく外界を知らずにいました。 また、イブ(日和)と共に幼少期を過ごしていたことや、同じユニット(旧fine)に所属していたこと等は、イブ(日和)はかつて自分の一部であったという歴史的なメタファーでもあります。

「へびが最も狡猾であった」

ここを朗読するのは、もちろん茨。聖書において蛇は、アダムとイブに「知恵の実」を勧めた存在です。茨は、浮世離れした凪砂(アダム)や日和(イブ)に、言わば「アイドルとして生き抜くための知恵(=毒、戦略)」を授ける存在であり、楽園を管理するために、あえて「悪(狡猾さ)」をも担う実行部隊です。(実際には、茨は卑怯な手には頼らず、自らの実力をもって相手を捻じ伏せることに喜びを感じているようですが)

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 ・「Adam」と「Eve」そして「Eden」

ここまで進むことで、この朗読が彼らのユニット「Eden」がどのように成立し、変質していったかの歴史を、聖書に擬えて語られたものだとわかります。 かつて「アダム(凪砂)」と「イブ(日和)」が共にいた時代、そこにはまだ「汚れ」や「疑い」がなく、ただ純粋な「力」だけがありました。そこに「助け手(ジュン)」や「蛇(茨)」が介入することで物語が大きく動き出し、「Eden」はアイドル界を牽引する存在となったのです。 そして、「Eden」のアイドルとしての大成は、凪砂にとって「ゴッドファーザー」の教えでもある「神であれ」という呪縛をなぞる行為であり、同時にそれをエンターテインメントとして昇華し、過去を支配下においたという勝利宣言でもあります。 同時に、茨が「蛇」を自称することは、ゴッドファーザーの血縁でありながらその威光を利用し、最終的にはそのシステムを乗っ取ってやろうという野心の表れではないでしょうか。 「神(凪砂)が作った世界で、最も賢く立ち回るのは自分だ」という強烈な自負が感じられます。

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齧りかけの林檎とEdenが導く「新しい世界」

黄金の林檎のオブジェが示すもの

最後に、植物館内には黄金に輝く林檎のオブジェが置いてあります。(めちゃくちゃさりげなく置いてあるので見逃し注意です。) 展示されていた林檎は、すでに誰かが齧った後でした。 聖書では、実を食べたアダムとイブは楽園を追放されます。しかし、楽曲『大いなる愛の前に全ては巡り来る』では「ここへおいで」「楽園へ」、『Absolute perfection』では、「手にした禁断は」「未来への果実」と歌われているように、Edenにおける「禁忌破り」は罪ではなく、彼らが統べる新しい世界への「扉」として描かれています。 さらに、11月24日「神話の再現」ではなく「神話の更新」を宣言するアグレッシブかつ力強い楽曲『The Bible of Eden』が発表されました。(6分弱の大作です・・・!イベント体験後すぐに聞いたので心が震えました。)

「被造物」から「創造主」への転換

これまでのEdenは、旧約聖書をなぞるように「神の代行者」「楽園の支配者」として振る舞ってきました。しかし、この曲のタイトルは『The Bible of Eden(Edenの聖書)』です。もはや既存の神話や運命に従うだけの存在(被造物)ではなく、自分たちが歴史を作る「創造主」になったともとれる、強烈な自我の表れです。 歌詞の端々に「古い世界を壊す」「塗り替える」といったニュアンスが含まれており、新しい世界を創るという意志を感じます。『大いなる愛の前に〜』が「創世記(Genesis)」の世界観だとすれば、『The Bible of Eden』はそこから外の世界へ進撃するイメージです。 単に愛を囁くだけでなく、圧倒的な力でファンを導くリーダーシップを示しています。「信じる者は救われる」という宗教的な構造を、アイドルとしてのパフォーマンスで成立させてしまうとは・・・。(Edenはもはや宗教の域)

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おわりに

Edenコラボの熱帯植物館、めちゃくちゃよかったです!Edenは神話だったのですね・・・。 これから現地行きますという方は、最初に通される謎の映写室で流れる、オリジナルボイスが唐突かつ音小さめに流れますので、聞き逃し注意です! 現地には行けない、行かないよって方は今回の記事や写真で、少しでもイベントを感じていただけたならば幸いです! 長文にお付き合いいただきありがとうございました。

基本情報

(開催場所) 東京都夢の島熱帯植物館 (開催日程) 2025年11月22日〜2025年12月14日 (入場料) 1,650円(税込み) 感謝祭HP:https://ensemble-stars.jp/fan_thanx_festival/#eden 感謝祭X:https://x.com/es_fan_thanx 熱帯植物館HP:https://www.yumenoshima.jp/botanicalhall 熱帯植物館X:https://x.com/yumenetsu

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東京・新木場 夢の島植物館

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